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この国の農業の変遷と自給率下降!斯くて「身土」は離れるばかり! [この国の行方!]

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 この国の農業の変遷と自給率下降!斯くて「身土」は離れるばかり!

 食と農は、表裏一体、紙の裏と表の関係にある。「生産されたものを食べるか、食べるものを生産するか?」ということである。

 「百姓がなぜ貧しいか解るか?教えてやろう!お前たちは大豆を五畝、里芋を五畝、小豆を五畝、菜種を五畝というように、いろんなものを少しづつ作っている。<これを五畝五畝百姓っていうんだ> つまり、儲からないものまで一緒に作っているから何時まで経っても貧乏してるんだ。これからの農業は儲かる作物を集中して作らなければだめだ!」当時の農業改良普及員は農家に口癖のように言っていた。

 昭和36年に制定された、「農業基本法」は、「選択的拡大」をまさに謳っていた。農家では、まず菜種を止め、大豆も切り捨て、麦も止めた、もっと小さなもの、自家用の胡麻、緑豆、蕎麦、小豆といった五畝ものも止め、米を中心に、葉タバコ、蜜柑に集中して作ることにかえた。それは僅か数年のうちに農村風景を一変させた。レンゲが消え(須坂でも昭和38年くらいまでは春先田圃がピンクに染まっていたが)、麦が消え、大豆畑も姿を消した。これらの作物は輸入される様になった。
 
 即ち生産を放棄したのである。この時点から、日本は「食糧の自給自足」を棄てたのである。それ以降農業は急速に衰退し、(青年は都会に流出し、「三ちゃん農業にならざるを得なかった)、食糧自給率は急激に下降していった。昭和40年に73%あった自給率(カロリーベース)は、平成8年には、42%に、穀物自給率は、29%まで下落した。小麦は28%から7%に、豆類は25%から5%へ、菜種、胡麻などは、コンマ以下になってしまった。

 そのかわり輸入農産物が飛躍的に増えた。(以下いずれも平成8年度実績、農業白書から引用)小麦591万t、トウモロコシ1626万t、大豆487万t、牛肉87万t、豚肉96万t、と、世界人口の2.3%の構成率しかない日本の輸入量は、全世界の農畜産物貿易量の実に10%(金額ベース)を占めるに至っているのである。これを生産するために使われる海外の農地は、1200万ヘクタール(日本の農地の2倍)に及んでいる。この輸入の実態は、国内で生産してなお不足する分を輸入しているのではない。減反政策などで、農地は荒廃(水田の33%を減反し、荒廃させたまま)している中での輸入なのである。

 このような食材の供給形態の劇的な変化(激減)、さまざま面に変化・影響を与えている。①食の供給者が、農業従事者から、食品産業に替わったことがあげられる。Cf 平成5年の、国民が支払った飲食費の総額は、72兆5千億円。その中の帰属割合は、食品加工30%、食品加工関連流通業28%、農林水産業23%、飲食店19%となっている。農林水産業23%について、詳細を見てみると、この中には、輸入された農産物、水産物も含まれていて、国内生産物だけに絞って言えば、(同年の粗生産額は11兆円なので)、たったの15%しかないことになる。当然農家所得はその半分で、販売農家(耕地面積50アール以上、または、農産物販売額50万以上の農家)の平均農業所得は138万円である。たった15%しか占めていない、

 事実農家は減っている。昭和35年の総農家数は、606万戸あったものが、平成7年には、実に344万戸と半減している。更に専業農家に限って言えば、10%を切っている。販売農家は、265万戸で、「主たる農業従事者」は、278万人、そのうちの42.3%は、65歳以上の高齢者である。

 一方食品関連産業従事者は、1200万人だから、農業の衰退、輸入の増加、食の変化は、まさしく、新たな産業と、雇用に、貢献したことになる。食の変化とは何か!? 自ら汗を流して、作物を生産することではなく、「安いところから運んできて、輸入したり、転がしたり、加工したりして、食っている国で、私たちの毎日の食生活も、その中にどっぷりと浸かっているのである。

 消費者の食品購入の内訳をみると、50%が、加工食品・調理済み食品が占めている。外食26%、家庭での調理による、所謂内食は、24%である。(これではおふくろの味は消える運命にある!いま家庭内に、包丁・俎板がない家が都会を中心に結構存在するという!加食・外食が76%を超える現状を見るとさもありなんと思わざるを得ない!)更にその後の特徴として、各企業が積極的に、開発輸入に力を入れており、「日本の消費者ニーズに応えるため、現地での「原料農産物の栽培・生産管理の段階から、積極的に関与していることが伺われる。即ち消費者であるあなた達のニューズがそうさせていると農水省は言っている!まさに「食の国土離れ!身土不二ならぬ、「身土分離」である。食品産業による「食」は、日本の土を離れる方向にまっしぐらに進んでいる。

 このことが「食の安全面」での様々な、問題を引き起こしている。何しろ食べ物は「生き物」であるから、如何に流通技術が発達しても自ずと限界がある。だから、新鮮の様に見せる技術が必要である。進歩したのはその部分だ。即ち「食の肝心の部分」が土から離れ、安全面から遠ざかり、店頭に陳列された見栄えとか、日持ちとか、色の良さとか、本来の食の食たる所以が疎かにされている。

 山下惣一著「身土不二の探求」参照。



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