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【キリンビール高知支店の奇跡】 キリンビールの万年最下位高知支店奮闘記! [日記・雑感]

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 小生も営業部門に在籍し、いろんな支店を渡り歩いた。会社は社員の資質の向上や、幅広い経験を積み、「粘り強い営業担当者」に育て上げる。営業は、実績が数字で表されるし、諸指標も端的で把握できるので、成績が思わしくないと、心身ともに疲弊する。支店長会議の席順も、実績の悪い順に座らせるなどという、厳しい会社もあるようだ。

 キリンビールの代表取締役副社長であった田村潤氏の著書「キリンビール高知支店の奇跡」という本が話題を呼んでいる。氏が本社営業本部経営企画部長代理の要職にあった時、上司の「値下げ販売」の要請を突っぱねた挙句の果て、高知支店への転出辞令を受けた。丁度アサヒドライが市場に導入される前の時期で、また外国産ビールが量販店を中心に安売り攻勢を掛けた時期と重なり、全社的に苦戦を強いられていたが、取りわけ転勤先の高知支店は断トツの成績の悪さであった。

 さぞかし弛みきった社内雰囲気だろうと覚悟して支店に入ったら、意外にもあっけらかんとした雰囲気で拍子抜けしたそうです。全員が、本社や支社から「やれ!」と言われたことを一応熟すふりをしながら、その実成績の悪いことを苦にするでもなし、負けることに慣れ切っていて、別に危機感も抱くことなく淡々とした様子でした。

 新支店長は、どうしたらいいか途方にくれましたが、「何故負け続けているか解るか?」と質問を投げかけました。出て来た答えは、「指示が多すぎて消化し切れない」「一生懸命やっているのですが・・」「時間がない」とか、言い訳ばかりで、実績が出せない要因は皆無だった。原因を把握できていないのだから、「こりゃあ!慌てずにやるしかない」と腹を括ったそうです。

 また営業先に対しても、酒席が多く閉口したが、客先の意見を聞く絶好の機会と思い直し、不審要因を聞き捲ったのです。その中に「お前んとこのセールスは、偉そうにして、ちっとも顔も出さないじゃないか!」というお叱りを受け、「殿様商売」を痛烈に批判された。そこで社員に、先ず「営業努力が短期に出やすい、居酒屋、飲食店、レストランなどに顔を出し、営業を掛けて行こうと提案した。とにかくやったことの成功体験を積ませようと思ったとのことでした。

 訪問件数など一切口出しせず、社員に自主的に決めさせたが、それさえ熟さずに、平然と帰宅していく。目標というのは、「出来たらいいな!」という願望ではなく、「必達するものだ!出来なかったら出来るまで帰ってくるな!」と本気で怒ったそうです。

 それでも思うような結果が出なかったが、4ヶ月目から、「この頃よく来るなァ!キリンを増やしてみるか!」とか、「店を紹介してやる!」とか、変化が出て来た。そうなると、「こうしたことをやれば、客先の役に立てるのではないか」、「こういう情報を持っていこう!」という積極的、自主的な行動が取れるようになり、好循環になってきた。支店の雰囲気も「仕事が面白くて仕方がない」というように変わってきた。

 ところが間の悪いことに、アサヒドライが市場参入し、シェアを大幅に伸ばし、キリンは高知市場トップの位置から滑り落ちてしまったという事態遭遇してしまったのだ。それでもめげずに、どうしてドライが売れるのか、客先の反応を直接聞ける立場の居酒屋などに聞いて回り、その結果「ラガーにはビールらしさの苦味が足りない」「味にキレがない」との情報を得た。この時期キリンでは、スーパードライを意識し、ラガーの苦味を抑える方向に変えていたのである。コアな消費者は敏感に変化を感じ取っていたという事になる。

 「味を戻せ!」という消費者の声を、本社に挙げたが、消費者テストを経て、売れると判断した商品という事で、頑として撥ねられた。[本社とはそういうものだ!]その挙句、「成績不振を本社政策のせいにするのか!」とまで扱き下ろされたとのこと。[本社とはそういうものだ!]

 ところが、当時の社長が、高知支店に、ミーテング(視察)のために来社した機会があり、意見を求められた時、突然女性事務員が颯爽と手を挙げ、「ラガーの味を戻してください!これだけ客先から要望があるのに、変えないのはお客様に対して卑怯です!」という誠に持って堂々とした意見を社長に述べたのです。[私も経験がありますが、こういう時委縮してしまって中々発言できないものです!←特に男子社員は!]支店長も社長の宿泊先のホテルまで出張って更にひと押ししたそうですが、そう簡単にはひっくり返る訳もなく暗澹たる気持ちで帰ったのだそうです。

 ところが翌日高知から東京へとんぼ返りした社長は、予定の新聞社の取材を受けた際、「現場の声が強いのでラガーの味を元に戻す!」と前代未聞の独断で答え、それが翌日の新聞に掲載されたのです。[本社や工場は泡を食ったと思う!]

 さて火元(?!)の高知は、自分たちの提案が実を結んだのだからと喜んだのも束の間、それだけに「高知市場を奪還せなあかん!」と営業活動に一層の力を入れたのでした。97年に37%まで落としたシェアを、‘01年には、44%まで回復させ、高知市場を再びトップにすることが出来たのです。あの負け犬根性の高知が、いち早く、シェアを奪還したと、「高知支店の奇跡」として話題になったのでした。

 客先の望んでいることを察知し、どうしたら要望に応えられるかを考え、商品に責任と愛情を持つ。さすれば人から強制されて仕方なくやるのではなく、自分からやるべきことを見つけ、実行し、成果を出せるようになる。一層の自信が付く。仕事とは何か?物を売るとはどういうことかという事が自然体で出来るようになる。

 今は「毎日が日曜日」みたいな生活だが、自分なりの仕事も、斯くありたいと思った次第です!



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